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治療レポートC 2017.8.10

動物達にも何らかの理由で貧血になってしまった時に輸血対応が必要になることがあります。
 
人間のように血液バンクが整っていれば良いのですが、動物の場合は全く体制が整っておらず、各病院で確保することが前提です。
そこで大型犬の飼い主様に供血をお願いしたり、同居動物がいれば供血をお願いしたりすることで対応しています。
但しほとんどが緊急対応での輸血治療となるため、確保できないこともあります。
 
犬、猫の血液型もちゃんとあります。(人間のABO式とは異なる方式)
輸血の前には「クロスマッチ」という輸血に対する適合・不適合(安全か、危険か)を確かめる検査を実施してから行います。
輸血中もアレルギーなどの副反応の監視が必要となります。
 
実際の流れは・・・・
 
@供血して下さる動物(ドナー)を探して連絡し、ご来院いただきます。
Aドナーの健康チェック(血液検査)で異常がないことを確認します。
Bドナーと輸血を受ける動物(レシピエント)のクロスマッチテスト(所要時間60分)を実施。
    クロスマッチの結果で異常あり⇒新たなドナーを探す(@へ)
    クロスマッチの結果で問題なし⇒ドナーより採血へ
Cドナーから採血:
  猫、小型・中型犬は首の血管より、大型犬は首もしくは前足の血管より採血します。
  ドナーの状態によっては鎮静処置をすることもあります。
  目安として体重10Kg の犬ならば約220ml、体重3Kgの猫ならば約45mlの採血ができます。
  採血後、循環血液量を補うためドナー静脈点滴をします。鎮静処置をした場合には覚醒させます。
Dレシピエントへの輸血開始:
  クロスマッチテストで問題がなくても、実際に輸血を開始するとアレルギー反応など問題が起こる可能性はあるため、
  慎重に投与、観察しながらとなります。
 
輸血は人手も手間も大変かかる処置となります。
 
特にドナーとして協力していただけるご家族の方にも大きな負担がかかります。
ご友人同士や、様々なネットワークを日ごろから作っておくと、いざというときにスムーズに協力してもらえるかもしれません。
ドナーは必ずしも大型犬でなくてはいけない訳ではありません。レシピエントよりも体格が大きければ可能だとお考え下さい。
 
 
1枚目の写真 
りゅうのすけ君は椎間板ヘルニアの手術後に大量の血便が始まり急激な貧血状態となりました。
原因は不明でしたが、病気自体のストレスや手術等による肉体的なストレスが引き金になったと考えられます。
輸血を受けているため、輸液のチューブが赤くなっています。
輸血後に症状は改善し、急速に回復しました。貧血を乗り越えたことで椎間板ヘルニアの治療も乗り越えてくれました。
 
2枚目
ドナー協力してくれたゴールデンレトリーバーの太陽(さん)ちゃんです。
 
3枚目
同じくドナー協力してくれたゴールデンラブラドゥードゥルのタロウくんです。
 
最後に・・・
他にもドナーとして協力していただいた動物達・ご家族の方々がいらっしゃいます。掲載できなくて申し訳ございませんでした。
大切な血液と貴重なお時間を割いていただき、スタッフ一同感動しながら治療に使わせていただきました。
ご協力ありがとうございました!